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カワモト エイキ
さんの絵




 

カワモト エイキさんの絵
文 ことのは 宇田川 靖二


私がニューヨークに遊んだ時の、ある日のある公園、それはカワモトさんの、「羊がいる絵」のような午後であったのかとも思う。
にわか作りの野外舞台に、人だかりがしているのにぶつかった。
コンテンポラリー・ダンスの公演が始まるという。
地元の、女子学生8人ほどが、簡素な衣装で、各々大きな風船を一つづつ抱えている。
彼女達は、定位置から、音は無いが或るリズムに従って、旋回するように舞い始める。
相互に間合いを意識しながら、風船の丸さを軸にしているかのような動きを続ける。
テーマはすぐに了解できた。
丸っこいもの(風船)が、身体に寄り添った時、人の行動もおおむね円弧の傾向を呈するようで、風船はその性格を引き出すための「媒介項(物)」になっている。
そのステージから、「直線」が消えている。

私達は、とりあえず、私達の身体内部に、そうした「もの」、あるいは「こと」
が潜んでいると思ってみる。
その自分の内部に、何か丸さを感じて、コンパスの円というより、もっと「丸っこいもの」を感じてそれをイメージとして取り出そうとした時、その人が絵を描く人であれば、このカワモトさんの作画のようなことになるのだろうか。

作家本人に限らないことだが、この「丸っこい」ということのうちには、例にもれず「それはどこからやってきたのだろうか?」とか、「それは何を意味して、どういう可能性を秘めているのだろうか?」とか、そういう問いかけがつきまとってくる。

こうした世界は、言わば「原型」をイメージ化するような作業であり、それはひとりで探索してゆくものであるから、絵の中で、春の日に遠方を眺めていても、樹々のたたずまいに目をやってみても、そこに流れている空気は、どこか孤独な気分が漂っているのは自然なことだ。

そうした事情で、作家は、そのはるか彼方に視線が届き得ないが故か、翳りのような風がわたるのを感じる、静かで、またドラマチックな時間に、我知らずはいりこんでいる。


1969 東京都八王子市生まれ
1987 アンティークなどの家具修理工房に就職
1996 海老名市青少年会館にて関根爛一郎氏に油絵を教わる
1998 厚木市市民ギャラリー(二人展)-神奈川
1999 神奈川県立七沢リハビリセンター絵画教室
2001 アツギミュージアム(個展)-神奈川
厚木サティー(旧ビブレ)内田書店内常設-神奈川
2002 ギャラリー悠(個展)-神奈川
2003 第21回IZU美
ギャラリー悠(個展)-神奈川
厚木市立小鮎小学校(特別講師)-神奈川
厚木市立愛甲小学校(特別講師)-神奈川
2004 ギャラリー悠(個展)―神奈川
厚木市立愛甲小学校(特別講師)-神奈川
絵画教室アトリエFree-神奈川
2005 厚木サンウェーブ・ショールーム(個展)-神奈川
小田急本厚木駅 あつぎロードギャラリー(個展)-神奈川
ぎゃらりー結 (24時間TVチャリティー)-神奈川
ギャラリー悠(個展)-神奈川
厚木サティー 正光画廊-神奈川
厚木市立愛甲小学校(特別講師)-神奈川
2006 自由が丘「cafe´&bar RINCON」(個展)-東京
ぎゃらりー結 (合同教室展)-神奈川
横須賀さいか屋 美術サロン-神奈川
珈琲店「ほ」 水彩展(個展)-神奈川
ぎゃらりー結 (24TVチャリティー展)-神奈川
厚木サティー 正光画廊-神奈川
ギャラリー悠(個展)-神奈川
2007 ギャラリー小禄(二人展)-沖縄
ぎゃらりー木彫館(個展)-沖縄
珈琲店「ほ」(個展)-神奈川
沖縄リウボウ百貨店 美術サロン(個展)-沖縄
2008 第11回八王子画廊散歩-東京
ギャラリー・スペース ことのは(風景画展)-東京
新宿高島屋店 アートギャラリー(8月予定)-東京
上大岡京急百貨店 アートスペース(10月予定)-神奈川
ギャラリー・スペース ことのは(11月予定)-東京


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